響け!ユーフォニアム12話 演出考察 「映像で語る物語」
今回は、久美子や久美子の心情を何かに例えて、シナリオとともに映像で物語を展開していた演出が見られました。
難しい楽譜を渡され、個人練に出かけた久美子は「よしっ!」と気合を入れて、練習に望みます。
特別になるため、久美子は蝶のように羽ばたきはじめます。
上手くなりたい、特別になりたいと語る久美子。
映しだされる画面は、まるで草の檻に閉じ込められているよう。
特別になるために、新しいパートを吹けるようにするという檻から出なければなりません。
しかし、なかなかうまく吹けない久美子はついにパートからはずされてしまいます。
吹くことすら許されなくなった久美子は、蜘蛛の糸に捕まった蝶のように身動きすら取れなくなってしまいます。
このような、久美子の状況と合わせたモチーフを使った演出が今回は見られました。
この演出では蝶=久美子というモチーフでした。
ちょっと画像がわかりにくいですが、こちらの演出。
左は葵に会う前に映し出される外灯、右は葵と話し、また受験をきっかけに吹奏楽をやめてしまった姉を思い出し、苦悶しユーフォを吹き鳴らしたあとに映しだされたものです。
左の外灯はただ外灯だけが映し出されていますが、右の外灯はよく見ると虫が外灯に集まっています。
それまであまり考えてこなかった自分が吹奏楽を続ける理由。
その、なんの疑念も持たない心情を表したのが左の外灯で、その後、葵と姉の二人のことを思い、では何故自分は続けるのかと苦悶した久美子の心情(外灯)にはその疑念(外灯に集まる虫)がつきまとう。
そんな演出だと思いました。
また、月というのも久美子自身を表しているんだと思います。
久美子が新しく与えられたパートをついに外されてしまったあと、サファイアと葉月に励まされた時に映しだされた月。
月に全力で手を伸ばした久美子。
輝く月(特別になった自分)を手にしようと手を伸ばしたが、その月は今はまだ遠くに見えます。
学校での滝先生の会話の後に映しだされた月。
それは一つ前の月よりも、近くに映しだされています。
滝先生との会話で、自分が吹奏楽を続ける理由を確かなものにし、
「貴方の出来ますという言葉を、私は忘れていませんよ」とまだ自分の可能性を信じてもらえたことで、久美子はまた前に進み出します。
遠く遠くに見えた月(特別になった自分)が、まだ手には出来ないものの、少し手の届くところまで近づいた、という演出でしょう。
また、この月は半月です。
まだ特別には半人前、ということなのだと思います。
しかし、この半月は満ち欠けの順で言えば次は満月になる満ち欠けです。
満月に手が届いた時、本物になれるのかもしれません。
しかし、満月になっても、久美子が月を手にするまでに、また欠けてしまうかもしれないし、
この月が雲におおわれて見えなくなるように、久美子もまだまだこれから壁にぶつかることも多々あるでしょう。
それでも、いつか手にする特別という名の満月を目指して頑張れ、久美子